紹興貴酒の伝統製法
中国最後の黄酒博士。黄洪才氏の熱意。
あらゆる変革は、たったひとりの手から始まる。その例に漏れず、紹興貴酒という変革も、この人の手から始まった。黄洪才(Huang Hang Cai)氏。広大な中国でもわずか数名の、現役では氏ひとりと言われる国家認定の黄酒博士である。
醸造大学を卒業後、紹興へ。以来、さまざまな醸造元を巡っているうちに、紹興酒の現状を憂慮するようになった。伝統を軽視し、誇りよりも利潤を優先する。粗製濫造は数千年も積み上げてきた名声の終わりを意味してしまう。その状況を案じた黄氏が、中国で最も権威があるといわれる「中国醸酒工業協会」の監製を受ける大越酒業有限公司の代表で、自らの教え子でもある阿狗氏に提案したのが「貴酒づくり」であった。
提案は即断即決された。が、課された厳格なルールを徹底するのは、むろん簡単なことではない。手づくりを旨とするだけに、経験が何よりもものを言う工程を、黄氏と氏だけです
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~未体験のうまさへ/黄洪才氏
べて賄いきるのは不可能である。しかし氏らの熱意は周囲を動かした。教え子である優秀な発酵技師たちが黄氏を慕って続々と集まり、紹興貴酒づくりは軌道に乗った。いまでは同社に刺激を受けた他の酒造メーカーも伝統製法に回帰する動きがあるという。
紹興貴酒は、地の利と人の熱意が酒の神様を動かした幸せな酒だ。そして黄洪才氏の号令は、今日も大越酒業の工場で鳴り響いていることだろう。ちなみに中国政府は今後新たな黄酒博士の認定をしないといわれている。
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